くらげ重工業

随想録

20181124〜20190131 冬期うつ 断片

 
20181124

公園で水を飲んだ。公園の水は、家の中でいつも見ている水よりもずっとキラキラしていて綺麗だった。

 

20181126
光に遅れて雷鳴。
今日、夏みたいな雨が降った。町の全てが音になって消えていくような、不思議な熱を持った、そんな雨。おれは嬉しくなって、靴を濡らして、犬みたいに水たまりを蹴っていて、それを伝えるべき相手はいない。電話がしたい。風邪を引きたい。そういえば髪を切りましたよって、誰かに教えてやりたくて、やっぱりやめた、そっとしまっておこうと思い直す。この回転して走っていく感情も全部、本当はおれのものではなく、そんなことより、今現在ただ強さを増していく、この雨脚と飛沫の方が何千倍も大切なことだと思える。
良い雨だ。
 
再び雷鳴。靴のかかとの傷んだ部分から水が入ってきて、少しだけぶるりと震える、体だ。濡れたときに、初めて熱を感じる。まだ生きている。大嫌いで、大好きだ。
 
20181201
悪夢から醒め、雷に打たれたように泣いていた。自分の中の何かが決定的に砕けてしまった感覚。おれはこれからどうやって生きていくのだろうか。誰か。
 
20181228
しばらく寝たようだった。夢は見なかった。湯たんぽが布団の外に投げ出されていて、抱き寄せるともう冷めていた。窓の外はまだ真っ暗で、おれはもう一度眠った。
 
次に目覚めると、窓の外は明るくなっていた。しばらく横になったままぼんやりして、もう一度眠った。
 
次に目覚めると、同居人が部屋に来ていた。窓の外の日は傾いていた。夢を見た気がして、思い出そうとして、また眠った。
 
夜になった。
ごはんを食べた。YouTubeでやさしい音楽をたくさん集めて聞いた。お風呂にも入って、部屋をきれいにして、それからこれを書いている。冬に負けないように、逃げ出さないように、生きることと自分を軛で繋ぐように、ゆっくりと、言葉を選ぶ。生活の輪郭を確かめる。日記を書くのは久しぶりなので、少し戸惑う。
 
明日は買い物に行こうと思う。
 
20190115

昔好きだったものに似ているものと昔憎かったものに似ているものしか存在しなくなった部屋に閉じ込められている

 

20190120

水がお湯に変わるまでの小さな時間をちゃんと愛せる。おれは大丈夫だ。