Eclipse

随想録

20160826~20161031 31音

 
やさしい日 真夏の空気ゆらめいて 線路ゆくきみあと追うわたし
 
 
初風に吹かれ転がる熊蝉の死骸の軽さにこころざわつく
 
 
繁忙に去りゆく者のつけた傷もすぐ癒えて 寂しさ一抹
 
 
新月の夜の帳に包まれて 夢見る子らの上下する胸
 
 
しゃあしゃあと止まぬ耳鳴り蝉時雨 癲狂院の夏は終わらず
 
 
黄昏の病気みたいな色の空に問診表を掲げて問う
 
 
人の死は目にはさやかに見えねども 空の部屋にぞおどろかされぬる
 
 
ただ一人あなたに認めてほしかった、さよなら。と一文のみの遺書