くらげ重工業

随想録

20180217 脱走レポ4

マグカップのお湯に浮いているコバエの死骸をスプーンですくい出し、そのままカフェオレの素を入れて飲み干す。特に何も感じない。吉田寮生活二日目にして、衛生の基準がもう吉田寮にシフトしているようだった。一昨年に吉田寮を訪れたときにも感じたことなのだが、衛生の感覚というのは、健康や安全を保つためという面よりもむしろ、社会的な意味合いの強い観念なのではないかと思う。一般的にみて不衛生と思われるような環境でも、そこで普通に生活している一群がいて、その中に混ざって過ごしていれば、何も問題もないように思えてくるし、実際に何も問題ないことが多い。

夜になって、さくら荘1号館で2週間連続で開催されている耐久パーティー(?)に参加してきた。主催者の話だと、お金がぜんぶ無くなって破滅するか主催者が死ぬまで続けるらしい。すごい。

20180216 脱走レポ3

京都大学吉田寮の友人と連絡をとって、荷物を預けられることになったので、吉田寮に移動することにした。
いったん寮で彼と合流し、周辺のスーパーやホームセンターを案内してもらい、それから寮に戻って3日分の衣類を洗濯した。夕ごはんは、最近インターネットで話題になっている吉野家の無料牛丼を、彼のクーポンで食べさせてもらった。ありがたいことだ。やっぱり、できたてのホカホカのご飯はスーパーの半額弁当のそれよりずっと美味しい。牛肉が食べられるのも嬉しい。脱走してからお湯ばかり飲んでいたので、お茶がついてきたのも嬉しかった。夜になって、あるルートからタダで2食分ぐらいの食料をもらえたので、とりあえず明日の朝ごはんのことは考えなくてよさそうだ。

こっちに来てから、人と会話するたびに何か懐かしいような感覚が湧き起こる。文化帯によって、会話で使用可能な語彙の集合や、それに伴う会話の体系などがそれぞれ異なると思うのだが、自分が大学生だったころ使っていたそれらで会話をしているような感じがする。

20180215 脱走レポ2

思ったより疲れていたのか、かなり遅くまで寝てしまった。昼から京都大学吉田寮リーフレットのデザイン料を受け取りに、百万遍交差点に行った。それから、家に残してきた通帳の失効手続きと、念のため口座の暗証番号を変更した。案外カードと免許証だけで手続きできるじゃん、これは行けるのでは??と思い、そのままの勢いで通帳の再発行を申し込もうとしたら、「こちらでの住所がないので、新しく通帳を作っても実家に送付される」と説明され、諦めた。どこか適当な曖昧ハウスのNHK料金あたりをおれ名義で支払って、領収書をゲットできるといいのだが……。それから靴下・下着類、その他生活用品などを買い、人間と会話して、今日は終了。たくさん歩いたので足腰が痛い。自転車がほしいなぁ。

20180214 脱走レポ1

新大阪駅へ向かう新幹線の中で、おれはこれからの生活のことを考えていた。どのような場所に住むことになるのか。口座から抜いてきたお金でどのぐらいの期間生活できるのか。抽象的ではない不安に悩まされるのは久しぶりのことで、それが案外心地よくもあった。

実家を脱走した。理由は、就職したくない(細かい条件を言うと、他人の指示の下で1日4時間以上は絶対に働きたくない)、面白い人間がいそうなところに行きたい、飽きた、実家にいると死にたくなる、自分が嫌いな社会構造を再生産する気がない等といったものだ。もっと抽象的な話をすると、おれは色々なもの(一語では言い表せないので特定しないでおく。世界などが近いかもしれない)が憎いという感情をどうしても消すことができなくて、それらと和解したいと切に願っている。そして、この破滅的とも思える逃避行によってそれを達成できるという、半ば強迫じみた観念によって家を飛び出してきたわけだ。

おれを手引きしてくれている人間からインターネット越しに指示をもらい、新大阪駅から京都駅へ、そして二条駅へと向かう。彼や、彼が泊めてくれるという学森舎2とかいうシェアハウスは本当に実在するのだろうか。あるいは全てが夢、幻なのかもしれない。この京都という町も……
待ち合わせ場所に指定された二条駅西口のセブンイレブンには、顔と髪の長い男性が立っていた。なんとなく女性だと思っていたが違った。おれは文章を黙読するとき勝手に声優がつくので、よく性別を誤認する。
適当にだべりながら電車を乗り継ぎ、出町柳駅、それから学森舎2へと向かう。彼が4月に新しくオープンするシェアハウスを建てるので、入居可能になったらそこの屋根裏に住むといいかもといったことを話した。
学森舎2に着いて荷物を下ろし、周辺のスーパー等を見学して、シェアハウスでの生活についての説明を聞き、その日はお開きとなった。夜になると入居者数人が一階リビングに集まっており、そこで軽く自己紹介し、みんなで羊たちの沈黙を観て、それから寝た。

POSTPOPS宣言2018 by Caritasa

Post pops 宣言 2018

PDFファイル(ダウンロード可)

POSTPOPS宣言2018.pdf - Google ドライブ

 

序文 音楽の復活

 

『芸術の目的は「再認」することではなく「直視」することとして、事物を感じ取らせることにある。そして、芸術の手法とは、事物を「異化」する手法であり、「知覚」をより困難にし、より長引かせるために「難渋化された形式」の手法なのである。』(シクロフスキー 1917『手法としての芸術』)

もしもある「表現」が何の形式も持たないものであれば、その表現は直ちに陳腐化し、擦り切れ、自動化の餌食となり、無意識のうちにただ再認されるだけの対象へと堕ちてしまうだろう。空は、月や太陽は、日常会話は、我々の感情は、戦争は、かつて鋭さを伴った「表現」であった。しかし、我々が生活を送るなかで、それらの対象への認識や思考は節約され、行為は習慣化し、「無意識的で自動的なものの領域」へと退行してしまった。

『たとえば、「月」(месяц)、この語の原義は「計測器」(меритель)であった。「悲哀」(горе)、「悲しみ」(печаль)の原義は、「じりじり燃えて(жжет)、ひりひり焼ける痛み(парит)」。』(シクロフスキー 1914『言葉の復活』)

〈多数の人々の複雑な生活が無意識のうちに過ぎるのであれば、その生活は存在しないも同然だ。〉

従って、芸術に必要なのは、自動化されてしまった知覚を再び異化させるための形式である。そして、この異化のための形式は、(自動化を遅らせるため半ば必然的に、)分かりやすさ、平易さを追求したものであってはならない。異化のために求められるのは、内容の知覚を困難にし、認識の過程をより長引かせる、「難渋化された形式」の手法である。

『芸術においては知覚のプロセスが目的であり、ゆえに、このプロセスを長引かせなければならない』(シクロフスキー 1917『手法としての芸術』)

これらのことから、芸術においては内容よりも先にその形式が問われなければならないことが言える。このことは特に、音楽においてより顕著であろう。
しかしこれらの事実にも関わらず、現代のポピュラー音楽では、形式を軽んじ、内容と内容へのアプローチの手軽さだけを重視する傾向がますます加速している。今やポピュラー音楽は、単なるムードのためのBGMへと堕ちてしまった。そこでは、和音や旋律、リズム、その他楽曲を構成する要素全てが、過去の楽曲の焼き回しとして「再認」される。我々がそれらを「直視」することはない。

ただ平易に、恋を恋として、希死念慮希死念慮として、切なさを切なさとして表現することに、いったい何の価値があるだろうか?我々は、それら内容の知覚をむしろ困難にし、認識の過程を冗長化する形式を使いこなせなければならない。それらの「難渋化された形式」の手法をもって、音楽それ自体の「自律性」を追求しなければならない。我々は困難と複雑さをモットーとする。

有機体のしなやかさをもって我々の情緒やムードに寄り添う音楽が、強い魅力を持つことも事実ではある。しかし、彼らはそのしなやかさゆえに、死を運命付けられている。数百年前のポピュラー音楽を聴いて感動できる人間が、現代にどれだけ残っていようか?
無機的な構造美を持った音楽だけが時の試練を耐えるのだ。

 

『我々は知らねばならない。我々は知るであろう。』(ダフィット・ヒルベルト 1930『ケーニヒスベルグ大学での講演より』)

音楽の大海は、全くの未知のままで、我々の眼前に開かれている。我々はまだ、浜辺で少しばかり綺麗な貝殻を集めて喜んでいた子供にすぎないのだ。
Caritasaは、従来のポピュラー音楽の楽式と調性(和音および旋律)を大幅に拡張した、強力な方法論を提示する。
これらの方法論が、大海への挑戦の嚆矢となり、未来の音楽への羅針盤となることを願う。

 

2017.12.20 完全なQ体

 

 

2018年もCaritasaをよろしくお願いします。

 

最新曲(2018/01/05)

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各種アルバム

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20171231 2017年に聴いた音楽で印象に残ったものまとめ

大晦日なので、今年聴いた音楽で印象に残ったものを紹介していこうと思います。先に言うと、今年は全体的に不作でした。これは、僕が収穫に割ける時間があんまりなかったからで、探せばその辺にたくさん実っているものと思われます。

 

リリースが2017年のもの

ぼくのりりっくのぼうよみ - Noah's Ark - 2017/1/25

 作曲はTreow氏。作曲界における完全な球体として有名な方です。和声感が凄い。

 

クロワッサンシカゴ - 舵手 - 2017/2/3

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ポストロックです。ちょっぴりシューゲイザー要素があるのが憎いですね。変拍子に加えて、独特の異国感があります。旋律が未知すぎてヤバいです。この音とこの音が繋がるか~~??というのがバスバス繋がっていくのが快感です。

 

nakano4 - 鼓動 - 2017/3/3

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ポップス枠。ドラムンベース。今年一番ぶち上がった曲です。低い音だいすき!!!という素直な気持ちにさせてくれます。

 

mouse on the keys - Reflexion - 2017/4/12

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ロックのようであり、クラシカルでもあり、プログレのようであり、ジャズっぽさもあります。孤高です。ドビュッシーやラベル、ストラヴィンスキーのような近代のクラシックの和音を使いながらも理屈っぽさは一切なく、ロックのように感覚的かつ攻撃的で、歌うようなドラムとゴリッゴリのベースラインが見事に絡み合い、時折つんのめるようなリズムは本能的に気持ち良いところをズカズカと突いてきます。クラシカルで難解なのにもかかわらず、クラシックを鑑賞する際に必要な”音を読む”行為が必要なく、身を委ねているだけで自然とトリップしてしまう凄まじい音楽です。

 

Les Amazones d'Afrique - Dombolo - 2017/4/22

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最近アフリカ音楽好きなんですよね~~ ところで、黒人って何でこんなにリズム感良いんですかね?僕も来世は屈強な黒人に生まれたい……

 

samayuzame - Room: 樹海 - 2017/5/2

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クラシカルです。半音ずつ下がっていく音階とか、短調から引っ張ってきた和音とか、とにかく鬱かっこいいです。鬱病になりたい方はぜひ。

 

Caritasa - Transcendency - 2017/5/8

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僕がデザイナーをやっているCaritasaの曲です。

 気の触れたバッハみたいでかっこいいですね。Caritasaのコンポーザーの紫合ユウさんは古今東西の楽理に通じており、音を縦に積み上げる音タワーバトル界では負け無しの猛者として有名です(そのような界はない)。作曲者本人の詳しい解説がここ(1stアルバム「Caritasa(カーリターサ)」が配信されました。 - やっていきましょい!)にあります。ちなみに、この曲が入ったアルバムをご購入いただくと、僕の口座のお金が増加する仕組みになっているので、よろしくお願いします。

 

長谷川白紙 - 横顔S - 2017/8/6

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コードワークが凄いです。歌詞も良いですね。難解なコードとは対照的に、メロディはキャッチーで乗りやすいです。なんとなくトクマルシューゴを思い出しました。声好き。というか全部好き。囲いたいです。

 

ELECTROCUTICA - CYGNUS.CC SS2017 - 2017/8/10

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先程も紹介した、作曲界の完全な球体ことTreow氏が率いるELECTROCUTICAの新譜。相変わらず強い……。ミックスも綺麗です。

 

Puhyuneco - idol - 2017/8/31

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これは一応ジャンル的にはIDM系のエレクトロニカなんでしょうか。音響詩を彷彿とさせるような独特の作風です。IDMと詩というのは相性がいいのかもなと思いました。岩倉文也さんとか小笠原鳥類さんとかこういうの向いてそうな気がします。新しいジャンルが生まれそうな可能性を感じさせる曲です。

 

YURiKA - 鏡面の波 - 2017/9/24

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アニメ「宝石の国」のOP。作曲は照井順政氏。ハイスイノナサ、siraphなどのバンドを率いる、ポストロック界の鬼才です。4拍子なのに変拍子に聞こえるのがウケますね。サビ頭のE♭Mの張り詰めた開放感が好きです。それと、2番のAメロから入るロックテイストなストリングが鬼カッコイイ。全体を通して、建築物のような、静的な美しさがあります。宝石の無機的な透明感みたいなのをよく表現していると思いました。地下鉄の動態の頃から思っていたんですが、照井順政氏は具体物を音楽で表現することがものすごく上手いんでしょうね。

 

Beck - Colors - 2017/10/13

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語彙がなくなりました。なんかすごい。聴け。それはそうとして、洋楽を聴くと向こうのミキシングの技術水準の高さに驚かされますね。おれもミックスできるようになりてぇ~~~!!!クソ!!!!

 

sora tob sakana - 鋭角な日常 - 2017/12/25

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一部界隈で話題沸騰中のアイドルグループです。音楽プロデューサーは先程も紹介した照井順政氏。エレクトロニカやポストロック、その他いろいろなジャンルを折衷したような音楽性が特徴です。この曲はわりとエキゾチックです。きっと変な音階を使っているんだと思います(確認してないので断言はできません)。きちんとアイドルソングになってるのがすごい。

 

 

リリースが2016年以前のもの

Paul Hindemith - Ludus Tonalis - 1942

僕は調性音楽と無調音楽の境界線上で逆立ちしながらバランスを取っているような音楽が性癖なのですが、ヒンデミット氏ははまさにそういうことをやってくれる作曲家です。この曲は、12音全てを使って書かれており、従来的な調性からは完全に逸脱していますが、それでも中心音がどこかは明確に分かるように書かれているのが凄いです。もはや怖いです。

 

Venetian Snares - Szerencsétlen - 2005/3/14

ロディアスなブレイクコア最高~~~!!!

 

斉藤恒芳 - 電脳コイル サントラ音楽集 - 2007/5/23

www.billboard-japan.com

(※視聴できます。)
小学生の頃リアルタイムで電脳コイルを視聴したせいでオタクになりました。僕と同年代の人は、この作品に衝撃を受けた人も多かったのではないでしょうか。電脳コイルといえば、電脳霧がかかった町並みに大量の鳥居がぼんやり浮かぶ光景や、アップデートされずに放置されたバージョンの古い空間などが彩度の低い色彩で表現されており、そこに独特の退廃感や不安感が宿っているのが魅力的なのですが、それらの感性はBGMにもはっきりと反映されています。ホラーなシーン以外のサウンドも全体的に調性が希薄で、どこか不安を掻き立てるような、しかし同時に懐かしさを感じさせるような、そういった楽曲が多いです。

 

黒猫ダンジョン - 量子の海のリントヴルム - 2011

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プログレ音ゲー楽曲。ELPカプースチンを足して2で割って、戦闘曲っぽいエッセンスを加えてポップに仕上げたみたいな雰囲気です。音ゲーの曲って短いし他にも色んな制限があるんだろうけどしっかりまとまっててスゲー

 

ドンガリンゴP - 1imb0 - 2012/5/15

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ポップスとアバンギャルドの邂逅!!!随所にクラシックからの引用があってかっこいいです。

 

MORGAUA QUARTET - 21st Century Schizoid Man - 2012/6/20

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プログレッシヴ・ロックの名曲、21st Century Schizoid Manの弦楽四重奏カバー。このカルテットは全員がクラシック畑の超絶エリートなのですが、演奏スタイルは完璧なまでにロックです。メンバーの荒井英治氏がプログレッシヴ・ロックに造詣が深く、この方が他のメンバーの楽譜に(ロックな演奏になるよう)膨大な量の指示を書き込むことで、このスタイルを成立させているそうです。

 

Brad Mehldau - Just Call Me Nige - 2014/2/25

デジタルな音色のジャズですが、エレクトロ・スウィングみたいなのとも違う雰囲気です。毒々しく禍々しい。電気・熱・暴力!!!!って感じです。

 

D.A.N. - Dive - 2016/6/18

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テクノのバンド的な解釈。ミニマルで無駄がない構成が素敵です。揺れる青い炎を眺めているような気分になります。このバンドは今後有名になりそうな勢いなので、今のうちから押さえておくことで「昔から知ってたし!!」アピールができるようになるかと思います。

 

N.D. - EOT 4 04 - 2014/7/2
EOT 4 04

EOT 4 04

  • N.D.
  • エレクトロニック
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 モードをエレクトロニカに応用した新しいスタイルの音楽です。ロクリアンっぽい響きですね(確認してないので断言はできません)。フリーテンポのピアノと高速道路のようなリズム隊の絡みがかっこいいです。

 

saiB - パイロキネシス - 2016/7/5

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脳に火がつきます。第二回全国学生作曲選手権Pops部門大賞作とのこと。おめでとうございます。

 

黒魔 - Field : Kaerezu no Chi - 2016/7/20

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華やかで勢いのあるピアノ曲。始まるぞ~~!!って感じが良いですね。

 

アイカツスターズ! - Dreaming bird - 2016/8/31

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(この動画はShort verです。)
作曲は南田健吾氏。音楽単体として見ても良いんですが、歌詞の盛り上がりとメロディの盛り上がりが完璧に同期してるのが素晴らしいですね。これぞ歌もの!という感じがします。

 

Lemm - Atoropa - 2016/9/21

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コロコロと転調していくのがとても心地良いです。それでいてきちんとキャッチーなのも凄い。メジャーとマイナーを行ったり来たりしているのでしょうか。一度楽譜を見るか耳コピするかして分析してみたいですね。サビに入ってグッと安定するのが脳に良い。良い。Lemm氏の作る曲はどれも優しくてママ~~!!という感情になります。

 

Tigran Hamasyan - Mockroot - 2015/5/26

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Tigran Hamasyan - The Court Jester - 2013/11/13

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Tigran Hamasyan氏は、プログレメタル、ジャズ、アルメニア民族音楽エレクトロニカをごった煮にしたような、狂気的としか言いようのない音楽性を、圧倒的な技巧によって成り立たせているピアニストです。リズムの刻み方がとにかくやばいです。これだけのことをやりながらも技巧一辺倒にならず、常に仄暗い哀愁みたいなのを纏っていて激エモなのがまた憎いです。この人の曲はとりあえず全部聴いといてください。

 

くるり - 琥珀色の街、上海蟹の朝 - 2016/11/21

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蟹食いてぇ〜~~~~

 

ムシぴ - 色彩電気 - 2016/11/29

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サブカル大好き太郎なので……。ハチャメチャにグロカワイイ。カワイイっていうのは本来的に毒々しいものなんだろうなとさえ感じてしまいます。


総評

今年は音楽ぜんぶ聴くぞという気合が足りない一年でした。来年はぜんぶ聴きたいです。

 

 

番外編 おれの曲

自我がクソでかいので、自分が今年書いた(あるいはアレンジした)曲で気に入ってるやつを紹介していきます。

 

お習作(未完成) - 2017/5/14

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クリシェという概念を知った記念に書いた曲です。飽きて途中で放り出してそのままです。飽きっぽいのマジでよくないなと思います。

 

ようこそジャパリパークへ ピアノアレンジ 改訂版 - 2017/6/8

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じゃぱりぱー!!!イエーイ!!!改訂版を出したのは、サブドミナントマイナーサブドミナントで誤って採ってたことに気づいたとかだったと思います。全体的に記憶が曖昧です。

 

おやすみ - 2017/6/8

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眠れなかったときに書きました。

 

パワーコード - 2017/8/20

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パワーコードという概念を知った記念に書きました。

 

鏡面の波 ピアノアレンジ - 2017/11/25

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原曲は無機的な美しさがあって良いのですが、このアレンジはそれとは逆に肉の生き物っぽさを出したいと思って書きました。

 

ピアノとベースの習作 - 2017/11/30

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dim系の和音をいっぱい使っておしゃれな雰囲気を目指しました。

 
Popsの習作 - 2017/12/5

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キャッチーなのを目指しました。

 

メリークリスマス!! - 2017/12/25


クリスマスソングです。今年書いた曲の中で一番好きです。

 

Op559 米津玄師のオマージュ - 2017/12/29

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オマージュしました。

 

Op570 練習曲33 PianoIntro2 - 2017/12/29

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Ⅵm/Ⅶ→Ⅵmを使ってみたいという気持ちで書きました。


総評

一年前はスリーコードしか使えなかったので、だいぶ成長しましたね。地味に150曲以上は書いたと思います。来年は楽理の勉強は控えめにして、打ち込みとミックスを重点的に鍛えていけたらいいなと思います。

20171209 サークラのアドベントカレンダーに参加した

サークルクラッシュ同好会のアドベントカレンダーに参加して、このような記事を書きました。

circlecrash.hatenablog.com


ところで、同じアドベントカレンダーの9日目の記事を読んでいたら、言語争奪という概念が出てきて面白かったので、紹介します。

非モテ」に限らず、多くの「自らをネガティブにとらえる言葉」、例えば「非リア」であるとか「うつ」、「ニート」、「KKO(キモくて金のないオッサン)」などは最初の意味に比べて、徐々に人口に膾炙していくにつれ、意味が拡大していくきらいがあります(私はこれを言語争奪 word captureと呼んでいます)。

「読むと絶対モテる記事」と拗らせ概論、さえも - サークルクラッシュ同好会ブログ

 

つまり、こういうことです。「非リア / リア充」という言葉ははじめ、「友達のいない我々(内集団)」と「大学生活を楽しんでるあいつら(外集団)」の間に線を引く役割をもっていたはずです。この線を引くことにより、同じスレの中にいる人たちはある種の連帯感(デュルケームに言わせれば共通の絆でしょうか)が生まれますし、彼らはアイデンティティを得ることができます(ここでいうアイデンティティとは「自分はこういうものだ」という定義付けとでも思ってください、そしてそういうものの存在は多くの場合、精神の安寧をもたらします)。

「読むと絶対モテる記事」と拗らせ概論、さえも - サークルクラッシュ同好会ブログ

 

(※以下、『呪詛・物語・社会』を前提として話を続けます。)
ここで例として挙げられている『非リア / リア充非モテ、うつ、ニート、KKO、その他「自らをネガティブにとらえる言葉」』はどれも、物語るという行為において、とても便利に使える語彙だと思います。「同じスレの中にいる人たちはある種の連帯感(デュルケームに言わせれば共通の絆でしょうか)が生まれます」というのは、同じスレの人たちで一つの物語を共有している状態とも言えます。


アドベントカレンダーの記事で私は、物語を書く者が強者であるということ、物語は物語中のオブジェクトに意味を提供するということを主張しました。それらはつまり、意味を上書きする者が強者であるということを意味します。なので、言葉の意味を上書きする行為は、典型的な強者の行為だと思うのです。「最初の意味に比べて、徐々に人口に膾炙していくにつれ、意味が拡大していくきらいがあります」とありますが、このような意味の拡大は、みんなが強者になろうとして、あちこちで同時多発的に言葉の意味を(自分たちに都合の良いように)上書きすることで、起こるのではないでしょうか。

 

言葉の意味が上書きされる仕組みについては、また物語概念と関連付けて、そのうち記事を書こうと思います。(そのうちがいつなのかについては諸説あります……。)
概要だけを書くと、言葉の意味の上書きは、その言葉の便利な使い方がキャラクターに示され、一定の同意を得たとき、その後から新しく意味がついてくるという形で起こります。このような仕組みは、言葉に限ったことではなく、物語中のあらゆるオブジェクトの意味は、オブジェクトの使われ方によって規定されています。使い方は意味に先立つのです。